アクティブリスニング(積極的傾聴)とは?

アクティブリスニング(積極的傾聴)とは?

アクティブリスニングは、企業の管理職やリーダーポジションの人材が身につけるべきスキルとして注目されて、書店に行けばたくさんの本が溢れています。

しかし、アクティブリスニングの効果や種類について正しく把握している人は多くいません。

今回は、アクティブリスニングの知識を深めたい方だけでなく、セールスなどで成果を出したい人、対人援助者、子育て中の方、大切な人を大切にしたい人向けに概要やポイントを解説していきます。

傾聴とは?

「経済産業省が「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事するうえで必要な基礎的な能力」として提言している「社会人基礎力」の要素に「傾聴力」が含まれているほどですが、よく知らない人の方が多いでしょう。

傾聴とは相手の話したいことに対して深く丁寧に耳を傾け、相手に肯定的な関心を寄せ内容の真意をはっきりとさせながら、共感的理解を示すコミュニケーションスキルです。

相手が話したいことや伝えたいことを受け止め、共感的な態度で理解に務める聞き方を目指します。

 

傾聴の効果

①話し手は自分だけではわからなかった自分自身について深く理解することができ、
②どのような行動をとるべきか気付くきっかけを得ることが期待できます。

③聞き手も相手への深い理解が円滑なコミュニケーションにつながり、傾聴は信頼関係の構築にも役立つテクニックです。

④理解しようとする聞き手の態度が話し手の無意識に安心感を与え、聞き手との信頼関係を築く

(よって無意識コミュニケーションも図りやすくなります。)

 

元々は対人援助スキル

アクティブリスニングとは積極的傾聴という意味です。もともとは、臨床心理学者であるカール・ロジャース氏によって1957年に発表されました。

彼のカウンセリングに対する考え方は、人には「なりたい自分」になる力が本来備わっていると考えているのが特徴で、楽観的かつ肯定的であるとも言われます。
(彼は、『抑圧家族』で育てられ、人生そのものが『真の自分自身になる』というテーマをめぐって展開していたとされます)

彼は「人間には成長に向かっていくための資源や回復するための能力が潜在的に備わっており、(そういう資源や力が元々備わっているのだから)その人がどうしたいのか、どう在りたいのか、というのはその人自身が一番知っている」と考えました。

そして、今や研修、ビジネス研修などでコミュニケーションスキルとして注目されています。

アクティブリスニングにおいて、聴く側は話し手とともに感じ、考え、問題の本質を明確にしていくプロセスを共有することで、話し手が自ら解決できるように支援します。

大切にしたい人がいる人に是非知って欲しい

身近な人や大切にしたい人、子育て、パートナーシップなどにも是非知って欲しいスキルです。

相手の話に完全に集中し、十分に理解し、応答し、さらに話の内容を記憶することが要求されます。

また、アクティブリスニングでは、相手が発した言葉に限らず、非言語(ノンバーバルコミュニケーション)や、言葉の裏にある意味まで理解しようと、意識的に関わっていくことをします

アクティブリスニングの種類

アクティブリスニングの手法は、大きくわけて「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」と「バーバル(言語)コミュニケーション」の2種類があります。

ノンバーバルとはしぐさや表情、声の大きさなど、言葉以外の情報からコミュニケーションを図る方法です。普段無意識にしていることですが、意識します。そしてバーバルとは言語のことで、言葉を利用してコミュニケーションを図ります。

3つの”非”アクティブリスニング(積極的傾聴)

無意識のうちにやりやすい非アクティブリスニングを紹介します。
ついやってしまいがちな3つの非アクティブリスニングを紹介します。

良い、悪いではなく、アクティブリスニングをしていない状態を紹介します。

1. 頭の中で反論している

よく聞くのが、話の途中で口をはさみ、訂正や反論をしたいという衝動にかられることです。
頭の中で反論を考えはじめたとたん、相手の話から注意がそれてしまうので、アクティブリスニングではありません。
この時、関心は相手ではなく自分自身の思考へ向けられ、次に何と言おうか頭の中で考えながら聞いている状態になります。

2. 気を散らしている

話を聞いているときに他のことに注意がいくことはよくあることです。
気が散ってしまう原因はさまざまです。

  • 他のことをしながら話を聞いている
  • メモや参考文献などに一生懸命になってしまっている
  • 第三者が会話に入ってくる
  • 話に無関係の後でやらなくてはいけないことついて考える

これらのことに共通している点は何でしょうか?それは、相手に集中することができなくなることです。

あなたの意識が目の前の話している人のこと以外に向けられているなら、アクティブリスニングはできていません。

3. 最後まで話を聞く前に感想を決めている

アドバイスや的確な助言を伝えたいこともあるでしょう。
ただ、残念なことに話を聞き終える前に自分の考えを固めてしまうと、脳の仕組みから、相手の話の続きは歪曲されたり、省略、一般化され正しく耳に入ってこない可能性があるということす。
この時もアクティブリスニングはしていません。

アクティブリスニング(積極的傾聴)の方法

以上で紹介した非アクティブリスニングを回避するために、以下で紹介するアクティブリスニングを促す考えや行動を実践してみましょう。

1. 集中できる環境をつくる

話し手に注意を集中できるスペースを確保します。

2. 聞くことは、参加すること

「アクティブリスニング」が「アクティブ」と呼ばれるのには理由があります。
よく、傾聴は”自分を抑えて相手の話を聞くことだ”と勘違いされやすいのですが、
話を聞くことは受け身のプロセスではありません。

積極的に相手の話にペーシングする

相手の話に頷く、おうむ返しするなど、短い受け答えによって話し手に先を続けるように促しましょう。あなたのその態度が相手の話をさらに深めます。

意味を明瞭にするために質問する

「それってどういうこと?」「もう少し詳しく教えてくれる?」などの質問は有効です。
それ以外の意見や反論は、話が終わるまで待ちましょう。
質問ばかりでは相手もストレスを感じるため、適切なタイミングを見て質問することが重要です。

ジャッジ(判断をくだす)のを後回しにする

話し手が最後まで話し終えるまでは、聞いたことに対して反論を考えるのをひかえましょう。

ノンバーバルコミュニケーションを意識する

人は誰もが言語以外のノンバーバルコミュニケーションをしています。必ずしも相手の話全てが本音ではないのです。相手はどんなことを本音では語っているでしょうか?

表情

表情はノンバーバルコミュニケーションの中でも重要で、非常に多くの情報を相手に与えます。聞き手は、相手の話に合わせて表情に変化を持たることで、コミュニケーションできます。また、話し手の表情から、感情の動きを読み取ることもできます。

アイ・アクセシング・キュー

アイ・アクセシング・キューとは、NLPの視線解析とも呼ばれる手法で、相手の視線から相手が何を考えているか、読み取ります。 NLPとは?詳細はこちら
例えば、視線を左上に動かす場合、相手は.記憶された視覚イメージ、右上に動かす場合は、構成された(想像した)視覚イメージを思い出していると言われています。

 

 

ミラーリング

ミラーリングとは、相手のしぐさや行動を真似することです(相手にばれないようにします。詳細は後日説明します)。ミラーリングを行うことで、相手は聞き手に親近感を覚え、心を開きやすくなる効果があると言われています。

反射

「悔しかったですね」「〇〇が嬉しかったんですね」「疲れたんですね」など、相手の感情を鏡のように「反射」して、相手の感情を受け入れ、寄り添う姿勢を伝える手法です。

明瞭化

相手の中であいまいになっている感情や事実に気づいたときに、気づいた内容を伝えて、相手の中で明確化する手法です。相手が忘れていた感情や見過ごしていた事実を認識できるようサポートします。

 聞きながら要約する

NLPでは、バックトラックというスキルがあるのですが、相手の話を要約することはお勧めです。

「つまり~ということですよね」
「〜〜〜ということであっていますか?」

などと、自分の言葉を使って相手の考えを言い換えます。誰もが自分のフィルターや、想定、判断、偏見を持ち、相手の言葉をゆがめて受け取っています。

そのこと自体が悪いというわけではありません。ただ、これらのフィルターを無意識に投影している可能性があるので、思わぬ勘違いをしていないか注意する必要があります。

アクティブリスニング(積極的傾聴)に必要な在り方(態度)

アクティブリスニングの手法を実践する前に、聞き手にはどのような姿勢が必要かについても解説します。話し手の邪魔をすることなく、自由に安心して話してもらうためには、聞き手の態度が重要です。
先の、ロジャースは、共感的理解を重んじ、話し手の“私的世界を、それが自分自身の世界であるかのように感じ取り”、「あたかも〜のごとく」という性質を伴って聞く体験様式を推奨しました。

(補足) ロジャーズの3原則

1.共感的理解
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすること。

2.無条件の肯定的関心
相手の話を善悪の評価や好き嫌いの評価をせずに聴くこと。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景を肯定的な関心を持って聴くこと。それによって、話し手は安心して話ができる。

3.自己一致
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認すること。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。

【厚生労働省】 こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトより

自分自身が自分につながる

特に、対人援助の場合は自分自身が自分につながっていない状況で、相手と繋がることはないといえます。まずは自分が良い状態でいることを心がけましょう。

無批判・慈愛・気づき

相手の話を聞く中で、自身の価値観とは違う相手の一面に気づくこともあります。しかし相手の考えを否定するような言動をしてしまうと、相手は安心して話せません。
NLPでは、意識的コミュニケーションには無批判・慈愛・気づきが必要と考えます。

相手の話がどのような内容であれ、ジャッジしない配慮しましょう。つい自分で善悪のジャッジを下してしまいそうになりますが、自分は自分、相手は相手と割り切り、「相手はこう考えるのだ」と気づきの姿勢で受け入れます。

受容

相手の話を聞いているときは相手の立場を想像し、相手への理解を深めましょう。受容の姿勢を示すと、相手も心を開いてさらに深い会話ができるようになります。

まとめ

アクティブリスニングは、確かにテクニックといえばテクニックです。
しかし、その前に在り方ともいえます。
あなたは、大切な人を大切にできているでしょうか?

普段のコミュニケーションは無意識で行っているため、自分の思考や脳の癖でおこなっています。
ですので、このように意識的コミュニケーションを意識することは多くの人にとってストレスを感じるプロセスになります。また意識していてもすぐに変えるのが難しい領域です。
ただ、この記事をきっかけに、これまでの自分のコミュニケーションでうまくいっていなかった人間関係振り返ってみてはいかがでしょうか?

実際の事例紹介

事例として著者の私の講座の受講生は
この積極的傾聴スキルを中心に何十万とする商品をセールスしている方もいます。
他、医療の現場で、大きな病院の医師がこのスキルを使う様になったところ、小難しいと言われていた患者さんに手を握り締められ「あなたはこれまで生きてきた中で、1番のお医者さんです」と涙ながらに言われたという話も聞きます。

こちらが、プレゼンしたり、伝えるのではなく、積極的に話を聴く(アクティブリスニング)の成果です。

プライベート、ビジネス、あなたの人生にプラスになれば幸いです。

より深いお話はまた後日加筆していきます。

 

 

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