自尊心と自己有用感

自尊心と自己有用感

自尊心とは

「自尊心」は、自己に対して肯定的な評価を抱いている状態を指すSelf-esteem の日本語訳です。
アメリカの心理学では以前から注目されてきましたが、日本語訳で
似た言葉が混在して、解釈にムラがあります。一般の英語の辞書で Self-esteemを引くと、自尊心、プライド、うぬぼれなどの意味があり、元々は、プラス面もマイナス面も含んだ中立的な語です。

学校では規範意識を育てられる

Self-esteemを自尊心とするならば例えば、自分に自信が持てず、人間関係に不安を感じていたりする状況が見られたりする人にその対策として“ 自尊心を高めることが必要” と主張される方は少なくありません。

しかしながら、日本では、学校教育で自尊心についてはあまり育成されていません。
それよりも「規範意識(きまり等を進んで守ろうとする意識)」を育てられます。

規範意識とは

「規範意識」とは、「道徳、倫理、法律等の社会のルールを守ろうとする意識」という意味です。

小学校教育などでよく「子供の規範意識を育てよう」ということが言われており、子供たちが公共マナーを身につけるように、また非行に走ったりいじめをしたりしないようにと、道徳の授業や色々な特別活動などにおいて「規範意識」を高めるように取り組まれています。

自尊心と自己有用感のバランスが社会性を育てる

学校では「自尊心」よりも「自己有用感」の育成の方がされやすいです。

自尊心を助ける自己有用感

日本の子どもの特徴として、自尊心の低さが言われますが「自分はだめな人間だと思う」に対して「そう思う」と回答した中高生は、我が国は60%を超えるのに対し、米国、中国の中高生は20%を超えない。「人並み以上の能力がない」「将来に不安を感じている」と回答する中高生も、他国に比べると多い傾向にある。自分は有能である、自分には人にはない取り柄があるという思える子どもは、自分の行動に自信が持て、何事にも前向きになり、規範意識の高まりが行動に表れると考えられています。

自己有用感とは

「自己有用感」は、人の役に立った、人から感謝された、人から認められたという感覚で道徳の時間などに教育されます。「自己有用感」は、相手の存在なしには生まれてこない感覚です。

最終的には自己評価であるとしても、他者からの評価を強く感じた上でなされるという点がポイントです。単に自分から生まれた自信ではなく、「みんなの期待に応えられるよう頑張りたい」という形の自信です。

自分と他者(集団や社会)との関係を自他共に肯定的に受け入れられることで生まれる、自己に対する肯定的な評価として「自己有用感」を育む教育を受けてきているということになります。

ですので、日本の子どもの場合には、他者からの評価が大きく成長に起因しているので、 「褒めて( 自信を持たせて) 育てる」という発想よりも、「認められて( 自信を持って) 育つ」という発想の方が、子供の自信が持続しやすいという特性がある場合も多いのです。

自己有用感で悩む子ども

しかし、「自尊心」を高める様に大人が子供を褒める機会を増やしても、必ずしも好ましい結果をもたらしません。そもそも、叱ったり、注意したりする必要もあるからです。

また、大人が褒めることで実力以上に過大評価してしまったり、周りの子供からの評価を得られずに余計孤立したり、自他の評価のギャップにストレスを感じるようになったり、ということが起きうるからです。

「自己有用感」の獲得が「自尊心」の獲得につながる

「自己有用感」の獲得が「自尊心」の獲得につながるのは前述の通りです。
他者の存在を前提としない自己評価だけを重んじることは、社会性に結びつきません。なので「自己有用感」 に裏付けられた「自尊心」 が大切になります。

自尊心と自己有用感を育てる声がけのポイント

「褒めること」と「認めること」の違いは?

よく、「あの人は受け取れない人だ」と、褒めていることを受け取れない人のことをあたかもネガティブな人の様に一般化してしまう人がいますが、大間違いです。
そこには、双方のギャップがあることを忘れてはいけません。
「認めてあげようと思って、褒めている」という傲慢さが隠れていないでしょうか?
褒めることは、そのまま認めること」という感覚で人を褒めることはあるものです。しかし、「認めてほしい」 「認めてもらいたい」 と強く思っている人は、「褒められてもうれしくない」 ものです。
ですので、どの様に声がけしていくかが重要になります。

コーチングにおける4つの承認

コーチングには「承認」のスキルがあります。

 1.「あなたがいてくれて嬉しい」といった存在そのものを認める「存在承認」

〇〇なんですね(復唱)/そうなんですね/◯◯と言っていたね

 2.「いつも優しくしてくれてありがとう」といった努力やプロセス、日頃の好ましい言動を認る「事実承認」

この状況なら、そう思うのは当たり前だよね/この状況ならそれは理解できるよ/

そういう考え方もあるよね/それは新しいね

 3.「よくがんばったね」といったよい方向へ変化していることを認める「変化・プロセス承認」

本当によく考えているね/順調に仕上がっているね/もう少しでできそうだね

 4.「目標達成おめでとう、よくやった」といった成果、結果を認める「成果承認」

すごいね/最後までやれたね/すばらしい成果!/達成できたね

 

まとめ

お楽しみに!

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