家族療法とは?

家族療法とは?

家族療法は、1950年代から欧米を中心に発展してきた精神療法・心理療法であり、家族という文脈からクライエントや家族への理解と支援を行う対人援助の大きな領域です。

(NLPのモデルになった、バージニアサティアミルトンエリクソンも取り組んでいました。)

社会不適応や悩みを抱えているクライエントに加え、その周囲を取り巻く家族も対象としてアプローチをする心理療法の1つです。

特に、現代で言うと不登校、発達障害、引きこもり、虐待やDV、摂食障害、うつ病など様々な社会不適応に有効なアプローチであるとされています。

1970年代以降,家族とはそれぞれは相互作用して変化・形成するシステムという考えの、システム論がメジャーとなり、家族/システムズ療法ともよばれます。

システム論による家族療法では、家族を、個々が互いに影響を与えあうひとつのシステムとして考えます。そのため、家族の中の個人の問題は、個人だけで独立したものではなく、互いに影響を与え合う中で、問題を維持する原因と結果の悪循環を描いていると考えます。

個人の問題は、家族を代表して問題を表現している人と考えるのです。
治療にあたっては顕在化している問題が、家族の中でどのように関連しているかを把握し
参加可能な家族成員の合意のもと治療が行われます。必要に応じて個人面接,親子・夫婦面接,家族合同面接,そして家族にかかわる他の人びと(親戚や教師,職場の上司など)を加えた面接などが行なわれます。

家族はシステム

家族はそれぞれは影響しあっているシステム

システム論では、家族とは単なる数人の人びとの寄せ集めではなく人びとが有機的に関係し合って,全体としてまとまって一連の機能を果たしているシステムととらえます。
この理論では,個人,家族集団,コミュニティ,国家などは,それぞれが一つのシステムであると同時に,生態システムのサブシステムと考えます。

個人や人びとが表現している症状や問題は,個人の生理的・生得的障害として治療の見込みはあるものの、多くの問題は,個人の成長・変化と環境の変化,あるいは複数の人びとの異なったものの見方や行動の相互影響過程で生じており,それらの相互作用は①症状や問題の発生②治療のプロセスにも適用できると考えます。

Identified Paitient

家族の中で問題や症状を示している人は,IP(identified patient)とよばれ,問題を訴えている人または、問題の中心にいる人のことを指しています。

Identified(識別された) Patient(親)の略であり、
「家族の病気の代表者」
「家族の中の象徴的な代表者」
「家族の問題を肩代わりしている人」と考えます。

この言葉が必要である深い理由は、「患者とされた人だけが患者ではない」という背景があります。

例えば、摂食障害の子供がいる家庭の場合、摂食障害の子供がいるおかげで、離婚寸前の夫婦が安定しているケースがあったりします。このような視点でとらえると、子どは家族のために問題行動(問題症状)をしていると捉えなおすことができるのです。

家族療法では厳密には、「患者」や「クライエント」と呼びません。
個人に不適応行動や症状が現れる原因は、家族システムに問題があると考えるからです。個人の不適応行動や症状は、家族全体のSOSの現れであるとみなすのです。
なので、IPとは家族全体の不健康さや歪みを代表する人物であって、「患者」や「クライエント」とはみなさないのです。

家族療法の適応

主な家族療法の適応と される疾患や問題について述べます。(家族社会学研究 第 29 巻第 1 号 2017. 4より)

子ども・青年における適応

1. 問題行動

不登校,家庭内暴力,ひきこもり,自傷行為,非行,薬物乱用,抜毛など

2. 精神疾患

摂食障害,境界例,強迫性障害(特に巻き 込み型),過換気症候群,外傷後ストレス 障害(PTSD),精神遅滞(知的障がい)の 心因反応, 注意欠損多動性障害(ADHD),発達障害など

3. 心身症

アレルギー疾患,喘息,胃腸障害,肥満など

成人における適応(夫婦療法を含む)

1.問題行動

児童虐待,DV,性機能障害,浮気,帰宅拒否,ギャンブル依存など

2.精神疾患

うつ病,不安障害,恐怖症,PTSD,境界例,高齢者の精神障害など

3.心身症

アレルギー疾患,胃腸障害,糖尿病,本態 性高血圧,肥満など

従来の考え方との違い

例えば、従来のアプローチだと子どもの「摂食障害」の原因はこのような 円環的なものではなく,たとえば「過保護な母親」「疎遠な父親(父親不在)」など,家族の「誰 か」かのせいで子どもが接触障害になったという仮説に 陥りやすいのですが、家族療法家は相互影響的に、子どもの「摂食障害」という問題解決のための解決努力が、家族の関係性を維持する大切な役割となり、それゆえに、問題を維持せざる得ないという皮肉な結果を招いていることになります。

家族全体を見て、支配関係、しきたり、コミュニケーション、役割など、様々な角度からストレスや葛藤が生じていないか、祖父母など、先祖代々から引き継がれてきたものが影響していないかも、検討されます。

そして、家族の関わり方を変えるなど、家族全体に対して変化や影響が生まれるようなアプローチをして、新しい家族関係や家族ルールによって、家族システム全体の機能が円滑に働くようにすることで、問題となっていた個人の問題が改善をしていきます。

家族療法を行う上での注意点

家族療法を行う上ではいくつか注意しなければならないポイントがあります。

目の前のクライエントひとりに注目しない

システム論に基づく家族療法では、IPが訴える問題は家族というシステム全体の機能不全が表れた一例であると考えます

そこで、問題を抱えているIP個人だけではなく、システムとしての家族全体の機能を回復するために家族の構成員を巻き込んで心理療法を行うシステムズ・アプローチをします。

悪者探しをしない

問題行動について考える際によく陥りがちな思考法はつまりなぜそのような問題が起こったのかという1つの原因を探しです。

現実の対人間の問題は相互に影響を与え合っています。

そのため、家族全体を治療対象とする家族療法では、IPに顕在化した問題というのは家族の影響を受けた結果でありつつ、家族の在り方に大きな影響を与えている原因でもあると捉えます。

問題の原因を家族の誰かに追求し人格変容を促したり、誰かに責任を負わせたりするのではなく、家族とともに問題解決や家族自身の力で問題解決することを援助していきます。

解決思考

!Pは、家族の中で問題維持をしている訳です。
ですから、そしてこれから(未来)のことに注意を向けて、問題や症状を呈している本人や家族が持っている問題解決能力やリソース(資源)が、十分に発揮されていくよう、家族療法の専門家は応援していきます。

家族療法の代表的な技法

家族療法における代表的な技法をまとめました。

コミュニケーション

家族の問題には、問題行動を持続させている好ましくない交互作用パターンが問題であるとみて、コミュニケーションが、今のIPを維持させる助けになっていると考えます。
IPの発生をコミュニケーションの視点から解明しようとし、家族内のすべてのコミュニケーションの質的改善をめざすします。
問題行動は家族内のコミュニケーションの相互作用の結果であると考えるのです。

ジェノグラム

家族療法で家族のアセスメントのための使う技法。3世代ほどをたどる家系図のことで、家族の歴史や家族システムを理解し、問題を整理し介入方法を立てたりするときに役立てます。

ジェノグラムを通して、世代を超えて繰り返すパターン(肯定的であれ否定的であれ)や、ファミリーが持つ強さや弱さ、ファミリー全体で取り組むべき大きなテーマが見えてきます。

両親の誕生と子どもの頃の話から始めることもあります。

家族イメージ法 (family image test: FIT)

家族療法における、アセスメント(見立て)のための技法です。
家族成員に見立てたシールを用紙に配置し、個々が家族に抱く視覚的イメージを明らかにし、かつ それを家族が共有することができます。
被験者がイメージする家族を作成します。
シールは、5段階に色分けされ、各家族成員のパワーの強さを表し、各家族成員の向きを表してもらいます。各シールを3段階の線で結び、各家族成員の結びつきの強さを表します。

ジョイニング

セラピストが家族にアプローチするうえで、対象となる家族に加わり、交流することジョイニングといいます。

まずはセラピストと、家族の間に信頼関係が必要になります。この時、家族と関係性を築く方法がジョイニング法と呼ばれています。具体的には、伴走、調節、模倣の3つから成り立ちます。

リフレーミング

家族療法における技法の1つ。家族メンバーの行動や、家族に起きた出来事、関係性などの「事実」は変えずに、その文脈や意味づけを変化させる方法。概して否定的に意味づけられたものを肯定的に、さりげなく変化させる発言セラピストが行う。

NLPでも中心的なスキル)

パラドックス技法

問題行動の維持、または強化を支持することによって悪循環を断つ。症状を止めるために使うエネルギーを、変化へのエネルギーへと逆転させる方法。反発するクライアントの反発するエネルギーを使って変化に導いたりする。
ミルトンエリクソンがよくやっていたスキル)

エナクトメント法

家族療法では、一人ではなく、家族のそれぞれに悩みを聴くことがあります。
この時それぞれのメンバーは主観的に悩みを語り始めるため現実がゆがむことがあります。
この時、実際に問題となる場面を再演してもらうことがあります。これをエナクトメントと言います。セラピストはエナクトメント通して、家族の問題の理解を深めます。

ダブルバインドを減らす助言

ダブルバインドとは?

「言葉のメッセージ」「表情やしぐさのメッセージ」が一貫せず矛盾したコミュニケーションをすることです。

例えば、親が「ご飯食べたらテレビを見てもいいよ」と言ったのに、テレビを見ている子どもに「いつまで見てるの!!消すよ!」と叱りつけたとします。
または、「怒らないから話して」「何でもいいよ」などと言ったにも関わらず、怒るなど。

このように何気ない日常にある、一貫性のない歪んだコミュニケーションを続けると子供の心理が不安定になると考えられています。カウンセラーは親にダブルバインドを控えるように促すことがあります。

ダブルバインドは、NLP開発に影響を与えた、グレゴリー・ベイトソンによる造語です。

家族療法アプローチ例

現在の訴えをオープンにする

①「患者本人の内面に問題がある」という家族の確信に疑問を投げかける。

②家族が決定づけてきた問題に、違う意味を与える。

③症状が表しているものが何か肯定的な意図を探る

問題を維持している相互作用に光を当てる

①現在の問題を維持している家族のパターンを探る。

②どんな家族の関係が問題を維持しているのか肯定的な意図を探る

組織的に過去の探索に焦点を当てる

①家族内のキーパーソンに未だ影響を与えている過去について探る。

②このような関係をどのように学んだのか、パターン崩しを考える

 

代替策を探る

①問題を再定義し、選択肢を広げる(リフレーム)

②問題が改善することを誰が望んでいて、誰が望んでいないのかを話し合う(エコロジーチエック)

家族療法の意義

一方向からではなく、複眼的あるいは多面的にとらえることで”表面化した個人の問題(症状・問題行動)は家族システムの機能不全”と捉える考え方によって、家族全員が問題に対して取り組む姿勢が形成されやすくなります。

家族療法システム論の今後

家族の多様化、により人間的な側面を重視した独自の発展を見せはじめています。

問題行動(症状)を持つIPのいる家族は、現状維持の傾向が強く、システムが硬直化していることがあります。なので従来はこの家族の安定性を壊すことが家族療法の目的とされてきました。

つまり、「問題維持システム」を「問題解決システム」に変容し、その結果として、症状・問題の消失・軽減・解消が起こす訳です。

が、現在では、機能不全の家族にもそれなりの自己治癒力があることを大切にするようになっています。

家族の「あるがまま」を尊重し、家族の自然溶解、自然治癒力をサポートするセラピスト側の姿勢が、結果的に早期解決を招くばかりか、悩みをかかえた家族にも歓迎されるようになってきました。

 

 

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