バージニア・サティア(家族療法)

バージニア・サティアの経歴

バージニア・サティア(Virgina Satir)は1916年6月26日 生まれのアメリカの心理学者・心理療法家・ソーシャルワーカーです。
アメリカのウィスコンシン州の農家を営む家庭に生まれました。

父親がアルコール依存症であったり、自分が病気のために2年間も聴力を失ったりしたことから観察眼や感受性、洞察力などの能力が非常に発達したと言われています。

教師になるための訓練を行っていたものの自尊心の問題に昔より関心があり、シカゴ大学にてソーシャルワークの修士号を取得しましたが、家族療法の創始者の一人とされ、家族療法の母と称されるようになっていきます。

自尊心についてさらに詳しく!

バージニア・サティアとNLP

のちにNLPを創始するリチャード・バンドラーはサティアの7つの技法をモデリングしてNLPの中にその理論と技法を組み込みました。

1959年に彼女はドン・ジャクソン、ジュール・ランキン、グレゴリー・ベイトソンらと米国を代表する心理療法施設MRI(メンタル・リサーチ・インスティチュート)を設立します。

これは米国を代表する心理療法施設の一つでした。体系的なモデルを作り上げたその施設で、サティアはトレーニングディレクターとして最初の正式な家族療法プログラムを立ち上げました。

家族療法は全体を見る

家族療法では、家族をシステムと考えます。そしてそのシステムの中で家族の中の個人の行動のような事柄は、直線的な因果関係よりも円環的因果関係の例であると見なした方がより理解しやすいと考えます。

たとえば,息子がおねしょがやめられないとします。そしてその理由が過保護な母親のせいであるとしましょう。ただその場合、単純に母親の過保護が原因として解釈するのではなく、その背後には夫に頼りたくても頼れないという夫婦間の問題が潜んでいる場合、

これは息子のおねしょという問題に対して「頼られる」という機能を持つ夫が「家族というシステム」の中で上手く機能していないということ、そのため母親が夫の持つ機能を肩代わりすることで、親子関係内に「過保護」という状況が発生していると考えられるわけです。

このように、家族療法では、援助者はこれらの内のある1つが問題というようには捉えず、全体としての家族にあると考えて対応していきます。

家族療法について更に詳しく

問題は家族全員で作り出している

サティアは、それまで子どもが心理社会的な問題を起こした際、子どものみにアプローチをすれば良いと考えられていたものを、大きく転換させました。
サティアは子どもが何らかの問題を起こした場合、それは家族との関係性、特に家族間のコミュニケーションに問題があると考えました。

なぜ子どもが問題行動を起こすのか?

サティアによれば、問題行動を起こす子どもがいる家庭では、 その子どもが問題行動を起こす前から家族全員が心に痛みを感じており、心の痛みに耐えられなくなった子どもが問題行動を起こして、 カウンセリングなどに来ることになるとされます。

サティアのいう機能不全家族

自分が生きる価値のある人間だと思えない男女が、つき合う

結婚することによって、自分のことを生きる価値のある人間だと思える様に なると思って結婚する。


この男女は自分のことを生きる価値のある人間だと思っていないので、既に心に痛みを感じている。

しかし、しばらくすると配偶者が自分の価値を高めてくれるわけではないと気づく。

自分の一部または延長のように見える自分の子どもに素晴らしい生き方をさせることによって、自分の価値を高めようとする。

そのために子どもを自分の価値観にしたがってどんどん操作する。

子どもは自分の欲求や感情を無視または否定されながら親の価値観に合わせようとするので、 そのうち耐えられなくなって問題行動を起こす。

家族全体を対象とする

そこで、サティアは子どもだけを対象にカウンセリングをするのではなく、家族全体に対するカウンセリングをする家族療法を創始したわけです。
特に子どもの感情や欲求を親が受け入れられることが必要であるとサティアは主張しています。
その後、サティアが確立した家族療法は、発展・拡大していき、現在、広く心理臨床の現場で活用されています。

「家族は人間が製造される工場だ」

バージニア・サティア

 

健全で機能している家族では、オープンなマインドと相互に利益や思いやり、愛情表現が認められる傾向が高くなるといいます。

バージニア・サティアの心理療法の特徴

家族が人格を作る

バージニア・サティアは、家族内で引き受ける役割が人格形成において重要な役割を持っていることに注目し、問題のある子供だけを治療対象とするのではなく、家族の機能的な問題やコミュニケーション、役割などの相互関係を見直していく家族療法を提唱しました。

 

家族メンバーの自尊心が低いと完全に心をオープンにできず、ミス・コミュニケーションタイプを取ると話しています。
家族メンバーの自尊心が作る5つの役割

以下5つの人格的役割が家族内で演じられやすいとしています。

①叱責者(罪を見つけ批判する成員)
②コンピューター(感情を表に出さない知的成員)
③気晴らし屋(感情から焦点をそらして騒ぎを起こす成員)
④慰撫者(読み:いぶしゃ、慰めいたわる成員)
⑤地ならし屋(オープンで正直な連絡係)

地ならし屋だけが健全にコミュニケーションを取れる状態であり、それ以外の演者は、

  • 自己評価が低い
  • 真の感情が出せないまたは、真の自分を出すのが怖い
  • 感情自体の恥ずかしさ
  • 認められない怖さ(慰撫者へと変移)
  • 自分には価値がないと思っている(叱責者へと変移)
  • 自分の知性にあぐらをかき、感情を認めない(コンピューターへと変移)
  • キュートで無害でなければ愛されない(気晴らし屋へと変移)

などの内的な問題を抱えていることが多いとしています。

自分には価値があることを受け入れる

このような内的問題を知り、自分には価値があることを受け入れていくことにより内的だけではなく、家族内での表現、演者、人格形成、相互関係が変化し、より良い状態へと導きます。

家族全ての要求を満たす、誤りに寛容で柔軟なルールを持つ

家族を一つのシステムと見て、家族全体の全体最適化を目指す様な介入や特定の個人になんらか働きかけるような形をとり、解決へ導きました。

 

言語・非言語に取り組む

ジェスチャーも大切な要素

バージニア・サティアの心理療法の特徴は、ジェスチャーなどの不調和からヒントを得て、これを最終的には調和の状態に持っていくということでした。

サティアのセミナーでは先ほどの人格的役割の姿勢やポーズをとって、そこから感じられるもの、またそのポーズを他人がするのを見て感じられるものをシェアし、その人の家族間の心の様子を探っていきます。

サティアのキークエスチョン

NLPでの質問スキルなどはこのあたりをモデル化したものも多いです

1. How do I feel about myself? (self- esteem)
2. How do I get my meaning across to others? (communication)
3. How do I treat my feelings? (rules)
Do I own them or put them on someone else?
Do I act as though I have feeling’s that I do not or as though I don’t have feelings that I really do?
4. How do I react to doing things that are new and different? (taking risks)
1. 自分自身を(五感の感覚として)どのように感じていますか? (自尊心)
2. 他人からどのように(自分にとっての)意味を感じていますか?(コミュニケーション)
3. 自分のフィーリングをどのように取り扱っていますか?(ルール)
・その気持ちは自分のせいですか、他人のせいですか?
・抱いている気持ちがまるでないように振る舞っていますか?
・抱いていない気持ちがまるであるように振る舞っていますか?
4. 新しいこと、いつもと違うことにどのように反応していますか?(リスク)

 

そして、気づきを元に視点を変えることなど通して
最後はただ直立し、自分の両足で立ち、その力を感じて、自分の体の重心を感じて自分の体、感覚、そして対面する人、そして「その場全体」の「今ここ」を感じ、互いにシェアしていきます。
(いわゆる自己受容統合を感じることになります。)
すると、それだけで受講者は、自然と手を取り合ったり、抱き合ったりすることになり、こうしてセミナーを終えました。

「どうすれば家族を癒せるかを知ることで世界をどう癒せばいいかがわかった」

バージニア・サティア

 

これらの過程はNLPでモデル化され、ビジュアルスカッシュというワークなどに応用さえています。

この他に具体的な介入の概念や、サティアがパーツ・パーティと呼ばれる技法を用いてクライアントの葛藤を統合していました。

 

バージニア・サティアの基本姿勢

サティアは人間的で、受容と思いやり、そして愛を基本としました。
サティアにとって、ケアと受容は基本的なもので、これらの要素が恐怖と直面し、他者へ心を開く手助けをしてくれると考えていました。

彼女の最大の関心は、人間のコミュニケーションや自尊心といったことについてでした。また、治療における関係性に感情と思いやりを取り入れようともしました。

他人の限られたものさしで自分という人を定義させてはいけない

“人生は「どうあるべき」ではなく、「どうある」か。重要なのはどう対応するかです。”

バージニア・サティア

自分を定義する勇気

人は助言をし、意見を述べたり要求してきたりもします。
そして、自分(=他人)の視点で、あなたには何ができて何ができないかを決めつけようとします。
問題なのは、その言葉をあなたが鵜呑みにしてしまうことです。

鵜呑みにするというのは、彼ら(=他人)の要求に合わせているということです。
自分がどういう人なのかを知ろうとする機会を自ら奪っているのです。

他人の意見を基に自分の価値を決める必要はあるのでしょうか。
自分が自分自身をどう思っているかということは、他人があなたについて思うより重要です。

他人が述べることは、彼らの歩んできた過去、信念、そして時には恐怖心から作り出されているのです。

あなたの一番の理解者はあなたであり、彼ら(=他人)ではありません。
彼ら(=他人)はあなたのアイデンティティ、能力、可能性を知り得るはずがないのです。
もちろん、あなたの限界や恐れについても同じです。

人を変えることはできません

人を変えたり、自分の望む通りに動くように仕向けたりすることは通常うまくいきません。
人が変わるのは、外からの力ではなく、自分自身で変わらなくてはいけないと(自分が)心底感じるときです。

人は自分の思い描くように人を動かしたいものです。
たとえその人が望んだ変化を遂げたとしても、その変化は本物ではないため重要視しません。
健全な人間関係では、他人を変えようとはしません。
その人をそのまま受け入れるのです。
もしその人の何かが気になるのであるのであれば、それを伝えましょう。
それを変えるかどうかは、その人が決めることです。

あらゆる困難を何か新しい物を創造する機会だと捉えてください。何か創造しようと反応を起こすことから学びと成長が生まれるのです。

―バージニア・サティア―

バージニアサティアのいう自尊心の高め方

自尊心にこだわったサティアです。
自尊心を高め自分自身を愛するには私たちは何から始めれば良いのでしょうか?
そこで、バージニアサティアのいう5つの自由を紹介します。
私たちには、こんなにも自由があるのです。

自尊心についてさらに詳しく!

存在する自由

「こうあるべき」や「こうだった」あるいは「いずれこうなる」として存在するのではなく、「今、こうである」として存在し、その状況に耳を傾ける自由

偽りのない存在であること、今現在に生きることの大切さと関連しています。

ここでの鍵は、自分自身と深くつながることです。そうすれば、今現在に焦点をあてて、フィルターや仮面、役割などに侵されない自分らしい自分として進むことができます。

何を考え、何を感じるかを決める自由

どう考えるべき、どう感じるべきかではなく、自分で考え、感じることを決める自由

誰かの期待に生きるということは、嘘偽りのない本物の関係ではなく、嘘の謙虚さを伴った不安定なつながりを築いてしまっているということです。
これは、二重に裏切る行為です。

誰かの期待に生きることで、たとえ自分が苦しいとしても、それは自分自身が、誰かと一緒にその苦しさを共謀して作っているに過ぎないのです。

①本当の自分を拒否することによって自分を裏切っています。
②本当の自分という存在を隠すことによって他人を裏切っています。

別の選択肢を選ぶことを探してください。
自分の気持ちや考えを表現することは、相手を尊重し自分や他人の感情に責任を持ってするのであれば、何も悪いことではありません。

感じる自由

「こう感じるべき」ではなく、今感じていることを感じる自由

自分には生きる自由があり、どんな感情も経験する自由があります。

ネガティブな気持ちを隠す必要もはじる必要もありません。
ネガティブな気持ちを感じたことに対するジャッジで苦しむ人もいます。

自分の感情を一つずつ知って受け入れ、そうした感情と付き合える様になります。

 

欲しい物を主張する自由

欲しいものの許可を待つ代わりに、相手に欲しいと主張する自由

私達には、欲しい物を選び、欲しいなら欲しいと言う自由があります。

自尊心が低い人は、自分の中に宿る不安定な自身のせいで、誰かに許可をもらわないと行動できなかったりします。
幼少期に自分で物事を決める権利はないと思い込まされてきたのかもしれませんが、自分という存在を知り、自分を表現する方法が分かれば、次の大きなステップは自分が欲しいものを表現することです。
リスクを冒して自分の欲しい物を求めることができるのです。

リスクを冒す自由

冒険を避けて「安全」なものだけを選ぶのではなく、自らリスクを冒す自由

自分の安心する領域から出る自由があります。
安心する領域から出るというのは、不慣れで居心地悪く感じるけれど、時として救いとなったりします。
成長したければ、前へ進みたければ、その唯一の方法は行動です。

そしてもちろん、その行動の結果の責任を取ることです。
そうすることによって初めて、自分に起きている出来事を受け入れ、そこから学ぶことができるようになります。
確かに安定・安心は心地よいですが、不確かなものに面と向かうことができず、もっと学ぶべきことを学ぶことができません。

いかがでしたか?少し難しいかもしれませんが興味ぶかいですね。もっと手軽に、バージニアサティアのやっていたことに触れたい場合はNLPから学ぶことをおすすめします!

タイトルとURLをコピーしました