現代催眠の父ミルトン・エリクソン

ミルトン・エリクソン(現代催眠の父)

ミルトン・エリクソンは、現代催眠術(催眠療法)の父と呼ばれています。アメリカの医師で心理学者である彼は、催眠療法テクニックの開拓者でさらに、家族療法家でもありました。
彼こそ、NLPのモデルになった天才セラピストの1人です。

1901年、ミルトン・エリクソンは、アリゾナ州フェニックスで生まれました。

催眠術が、秘儀的テクニック、または見世物だと考えられていた時代、治療法とするために尽力しました。

催眠とは?

催眠とは、暗示を受けやすい変性意識状態のひとつです。
また、その状態(催眠状態)、およびその状態に導く技術を指す場合もあります。

催眠状態といえば特別な状態に聞こえますが、変性意識状態として考えると日常に溢れており、電車の中でうたた寝をしている状態や、興奮状態の時、瞑想やヨガをしている時など誰しもが入る事の出来る現象です。

催眠状態では意識が衰退しているので、外界からの刺激や他の概念が意識から締め出され1つの事象が意識を占領することによって、暗示のままに動かされ、この暗示によって様々な幻覚が作り出されてきます。
心理療法に使い心の痛みをとったり、行動力を発揮させたり、セルフイメージの書き換えやモチベーションアップ、健康面で痛みの緩和や痛みの軽減、症状の緩和などが望めます。

催眠を医療に用いる試みもアメリカでは積極的に行われています。

ミルトン・エリクソンは「催眠とは、催眠の入り方を学ぶことです」とよく言ったものでした。まさに彼の言うとおり、エリクソン催眠は、本を読んで学ぶよりも、実際にエリクソン催眠に入ったり、入れたりする体験を通じて学ぶのが最も適した方法です。

ミルトン・エリクソンの生い立ち

ミルトン・エリクソンは下流階級の農家に生まれました。いくつか健康問題を抱えており、話し始めたのは、4歳になってからです。この時、ディスレクシアと診断されて、また、色覚異常があり、失音楽症に苦しみました。

そして17歳の時、ポリオに感染し全身麻痺となり、医師は、回復の見込みはないと考えましたが、エリクソン一家は、きっと回復すると信じ、彼は自分の身体的感覚に意識を向けるようになります

全身が麻痺するという身体障害に悩まされましたが、唯一使える目を用いて家族や人を観察し、これは後の観察眼や心理療法の基礎となる洞察につながります。

周りで起こることすべてを意識し、彼は非言語的(ノンバーバーバル)コミュニケーションの様々な面を見つけ、理解するようになったのです。また、(ハイハイからちょうど歩き始める年齢だった)妹を観察し、全身麻痺だったにもかかわらず、彼もまた歩く方法を学び、なんと歩けるようになったのです。

エリクソンのわずかな変化をも見逃さない観察力、コミュニケーション技術、相手の抵抗さえも味方にしてしまう柔軟な発想など、様々な面においてこの経験も生かされているに違いありません。

人はみずからがこうあると思い描けば、そのようになるのである。人が今あるその姿は、みずからがそうあると思い描いたものなのである

-ミルトン・エリクソン-

ミルトン・エリクソンの療法

ミルトン・エリクソンは、心理学者、医師になるために勉強します。
その間、クラーク・L・ ハルの暗示理論を分析しこの理論から影響を受け、催眠術やそれにまつわるもの全てに関する調査を始めます。

また、ジークムント・フロイトの実践についても学びましたが、基本的なアプローチに同意しませんでした。エリクソンは、催眠術は治療法の一種だと信じます。また、患者が積極的に関わるべきだと考えます

「無意識との調和を失ったことが、患者の問題である。私達の仕事は、その関係を引き戻す助けになることだ。」

「治療に抵抗するクライエントなどいない。柔軟性にかけるセラピストがいるだけだ」

-ミルトン・エリクソン-

彼の技法は「ユーティライゼーション(Utilization:利用できる物はなんでも利用する)」で、臨機応変・変化自在なものした。

彼の催眠は言語だけではなく、相手を深く観察した中で、声のトーン、話しかける位置、話をする速度などを誘導の中で使い分けまた相手の催眠中の反応を丁寧に拾って利用していくという
スクリプト(台本)を使わないもので、非常にエレガントだったと言います。

エリクソンは、心理療法にで催眠を多用し、クライアントの抵抗を避けるるための、様々な技法を編み出しました。
またクライアントごとに異なるアプローチをすべきという信念から、自らは技法の体系化は好みませんでしたが、エリクソンの影響を受けた弟子や共同研究者たちは、それぞれ独自の治療技法を構築し、総称してブリーフセラピー(短期療法)と呼ばれる一派を形成しました。

「全てのクライアントが、一人ひとりユニークで個性的な存在で
それぞれに合致した、これまたユニークで個別の治療的処置が必要である。
そして、これはセラピストにも当てはまり、同様に一人ひとりが、ユニークな個性を持った存在である」

-ミルトン・エリクソン-

 

とくに家族療法への影響は大きく、グレゴリー・ベイトソンのダブルバインド理論はエリクソンの影響を受けているとされます。

現代催眠の父と言われる理由

エリクソンは、その柔軟性から催眠誘導の枠を離れ、普通の会話をしているように見えながらも、実は、催眠と同じ原理を使って、相手を誘導し、変化させていくようになります。

確かにエリクソンは、彼のセラピーの初期には、催眠療法をメインとしたセラピーを行っていたのですがその技法を変えていったのです。

エリクソンは催眠療法家として最も有名ですが、実は彼の生涯においては、いわゆる「催眠」という形でセラピーを行ったものは、3割ほどだったといわれています。

一見、コミュニケーションしているだけにしか見えない中で、催眠誘導と同じテクニックを使い、
クライアントに本人ですら気付かないうちに、変容をもたらします。

エリクソンのやっていたことと従来の催眠に与えた影響は非常に大きく、エリクソン以前の催眠を古典催眠、エリクソンが開発したやり方を含む催眠を現代催眠、などと呼んで区別される様になったのです。

「似た人は二人といない。同じ文章を同じように理解する人は二人といない。そこで、人と向き合う時、相手がこうあるべきだという自分のコンセプトに当てはめないようにすべきである。」

-ミルトン・エリクソン-

ミルトン・エリクソンの主な目的は、患者が本人を苦しめている症状と向き合うのを助けることで、その目的達成のためには、正統ではない方法も使います。後に彼の治療はアンコモンセラピー(非常識な療法)と言われました。

古典催眠との違い

自然な会話による催眠

古典催眠とされる伝統的な催眠の様に「まぶたが重くなる」「眠くなる」などの指示的な誘導をせず、現代催眠では自然なコミュニケーションの中で催眠誘導していきます。

自然なトランス

自然なトランスを利用するので、クライアントがトランスに入った自覚が無い状態での誘導が可能です。

解決志向

問題の原因を探すのではなく、問題の解決を優先、古典催眠のように幼児退行してトラウマを体験するなどの手法は用いません。過去世退行やインナーチャイルド等も扱いません。(ただし、クライアントの世界観に合わせて、意図的にその様な手段を使うことはあり得ます)

催眠を解く

エリクソン催眠は、問題を抱えたクライアントはすでに催眠状態であると考えます。例えば自信が無い場合「私は自信がない」という催眠状態と考えます。ですので、この催眠状態から覚醒させることを目的とします。ですから催眠をかけるのではなく、催眠を解くという逆説的アプローチです。

クライアントとセラピストが対等

これまで、催眠と言えば被験者が催眠にかけられる、という構図でしたが、むしろ相互が対等でコミュニケーションによってクライアント自身が変化を起こすというアプローチです。

「変化を起こすのはクライアント自身である」

「誰でも問題を解決する資源(リソース)を持っている。」

-ミルトン・エリクソン-

心理療法に影響を与え続けたエリクソン

エリクソンの考え方、クライアントへの働きかけ方・治療戦略はエリクソニアンアプローチと呼ばれ、心理療法の流派の源流となっています。

・ド・シェイザー、インスー・キム・バーグらによる、解決志向アプローチ(Solution Focused Approach)
・リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーによる、神経言語プログラミング(NLP)
・ジェイ・ヘイリー、グレゴリー・ベイトソン、ジョン・ウィークランドらによる短期療法や家族療法(MRI)

NLPとエリクソン

過去にこだわらずに解決を追求し、はっきりとクライアントに対して指示や課題を出し、短期間で問題を解決していく。
エリクソンのこのスタイルは、従来の心理療法の世界観を大きく変化させ、NLPのモデリング対象になったわけですが、エリクソンの使う巧みな言葉の使いを研究・分析・体系化したものを”ミルトン・モデル”と言います。

エリクソンと無意識

ミルトン・エリクソンは無意識を「長い年月の記憶や技術の宝庫」であると肯定的にとらえ、無意識を信頼していました。
クライアントの意識的でなじみのある方法で解決するのではなく、直接無意識にアクセスしてすでにクライアントが持ち合わせている李にリソースを利用できるように援助するのが合理的な治療法である、と考えました。

フロイトと無意識
心理学者のジークムント・フロイト(1856年-1939年)は、「無意識」の重要性を認識し、精神分析という治療法を確立しました。この歴史的な事実は広く知られています。

フロイトは、無意識のことを精神的なもので自分では意識できないが、各個人に持続的に存在するもの。主体の意識とは関係なく意識に影響を与え、各個人の精神的な動きを規定し、時には制限するものと考えました。

フロイトが、心理療法の理論に貢献したがは異なり、ミルトン・エリクソンは心理療法の実際に貢献しました。また、患者の過去をあまり気にせず、今に集中すること、特に問題解決に焦点を当てることが、より重要だという考えをもち、NLPや解決志向アプローチに影響を与えています。

今では人間の心の問題を考える上で「無意識」の重要性は多くの人に認知されていますが、無意識の存在は1880年代ごろまでほとんど無視されていました

 

その他

家族療法家としてのミルトン・エリクソン

ミルトン・エリクソンが家族療法家でもあったことは、日本ではあまり知られていません。

家族療法とは、家族集団を研究と治療の単位として扱い、個人の問題を家族と言う脈略のなかで捉えようとする療法です。

たとえば、子どもがおねしょをすると言った場合、子どもを治療するのではなく、家族全体をみて、過干渉な母親に子供から距離を取らせることによって、子供が自立する方向で援助するなどしました。あるいは母親が支配的で父親を子育てから締め出そうとする状況には、母親と父親の関係性がよくなるような方法を工夫することで、より健全な家族にしていくことで間接的に子どもの治療をしています。
特に、家族問題に苦しんでいるひとへこちらの本は本当におすすめです。

NLPのモデルになった、バージニアサティアも家族療法で知られています。
バージニアサティアについて詳しく知る
家族療法について詳しく知る

 

50歳の時、彼は再度ポリオを患い、それを利用して感覚を分析し、痛みをコントロールするいくつかの方法を考え出し彼は著書でその全過程を記しています。そして78歳で生涯を閉じました。

まとめ

お楽しみに!

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